自大学ではない大学の大学院入試の体験談(いわゆる外部受験)と、体験に基づく対策方法を紹介します。
学部で所属する大学と異なる大学や高専からの受験をする場合、最初に困りやすいのは、いつ何をすべきか、入試はどのように対策すべきかということに関してなかなか整理された情報が見つからないことです。 大学受験と違って、大学院入試は研究科、専攻、研究室ごとに入試の方式も日程も異なっています。 募集要項、研究室紹介、説明会、過去問、英語試験、願書提出の時期をそれぞれ追う必要があります。
この記事では、他大学の情報系大学院を受験した経験をもとに、早めに確認しておきたいことを整理します。 制度や日程は大学、研究科、年度によって変わるため、ここで書く内容はあくまで進め方の目安です。 実際に出願する場合は、必ず志望先の公式情報を確認してください。
前提
ここで扱うのは、国立大学の情報工学、情報科学、情報系の修士課程の大学院入試です。 筆者は、情報工学系の学科から他大学の情報系研究科へ進学し、修士課程を修了しています。
情報系に近い理工学系の大学院を考えている場合にも、研究室選び、募集要項確認、過去問対策、英語試験という流れはある程度共通します。 ただし、文系分野、専門職大学院、博士課程では事情が大きく変わることがあります。
まず1次募集を前提に考える
大学院入試には、夏ごろに行われる1次募集と、冬ごろに行われる2次募集がある場合があります。2次募集は欠員補充に近い位置づけだったり、年度によって実施されなかったりします。
基本的には1次募集で合格する前提で動きましょう。 夏受験の場合、3月から5月にかけて説明会や研究室訪問、6月ごろに願書提出、7月から8月にかけて筆記試験という流れになることが多いです。
ただし、実際の日程は志望先ごとに違います。 大事なのは、「試験直前に勉強を始める」のではなく、「春の時点で受験先と必要科目を固め始める」ことです。
3~5月にやること
この時期にやることは、大きく分けると4つあります。
- 研究室訪問や説明会参加を通じて受験先を絞る
- 募集要項を確認し、受験科目を把握する
- 過去問の入手方法を確認する
- TOEICやTOEFLなど、必要な英語試験を早めに受ける
最も重要なことは受験先の研究科・専攻・研究室を早めに決めることです。 受験先が決まらないと、必要な専門科目、英語試験の種類、願書提出書類、研究計画書の要否が確定しません。
研究室選びは早めに動く
大学院入試では、大学名や研究科名だけでなく、どの研究室に入りたいのかが重要になります。 研究室ごとに研究テーマ、指導方針、学生の雰囲気、求められる前提知識が違うためです。
できれば、配属希望の研究室を主宰する教授や准教授と事前に入学後の研究テーマなどについて相談(研究室訪問)をするべきです。
研究室訪問:大学院の説明会
研究科や専攻が説明会を開いている場合は、その説明会の場で研究室の教員との相談や研究室見学ができる場合が多いように思います。
2027年度入試では、受験者が多いであろう以下の各大学研究科で説明会の案内が出ています。
このような説明会があるか確認し、必ず参加するようにしましょう。
研究室訪問:直接アポをとる
説明会がない場合や、より具体的に話を聞きたい場合は、研究室のWebサイトから連絡先を確認して、直接アポイントを取る方法もあります。 このときは、相手の時間をもらうことになるため、研究内容、最近の発表、募集情報など、事前に調べられることは調べてから連絡した方がよいです。
研究室訪問でうまくコミュニケーションをとれたら、研究テーマ・研究室の雰囲気のほかにも、先輩方が作成した過去問やその解答・内部生が使っている教科書なども入手できることもあります。 外部受験では情報差が合否に直結するため、ぜひ訪問することをお勧めします。
募集要項で受験科目を確認する
受験先の候補ができたら、募集要項を必ず確認します。 大学院入試は専攻・コース単位で行われることが多く、同じ大学でも研究科や専攻によって科目、提出書類、英語スコアの扱いが違います。
特に確認したいのは次の点です。
- 出願期間と試験日
- 筆記試験の科目
- 面接や口頭試問の有無
- 研究計画書や志望理由書の有無
- TOEIC、TOEFLなど英語スコアの提出要否
- 過去問の公開方法
英語スコアの提出が必要な場合、締切から逆算すると余裕がないことも。 申し込み、受験、スコア発行、提出までの時間を考えると、早めに1回受けておく方が安心です。
過去問は早めに入手する
院試対策では、過去問の確認がかなり重要です。 大学院入試は、一般的な参考書を最初から順番に進めるよりも、過去問を見て出題傾向を把握してから対策した方が効率的です。
過去問はWebで公開されている場合もあれば、大学や研究科に問い合わせて入手する場合もあります。 解答例は公開されていないことも多いため、研究室訪問時に教員や院生から入手できるとベストです。
ただし、過去問の答えをもらえるかどうかは研究室や相手次第です。 無理に聞き出そうとはせず、どの教科書で勉強したか、どの範囲を重点的に見たかを聞くだけでも十分です。
英語試験は後回しにしない
情報系の大学院入試では、英語試験が筆記試験当日に行われるのではなく、TOEICやTOEFLのスコア提出で代替されることがほとんどでしょう。 この方式の場合、英語は事前にスコアを上げられる数少ない要素です。
一度受けて終わりにするより、必要に応じて複数回受けられるように早めに動く方がよいです。 スコア発行までの期間や、提出書類として認められる形式も確認しておく必要があります。早ければ願書とともにスコア提出が求められるため、要注意です。
5~6月にやること
6月ごろに願書提出があります。大学や専攻・コースによっては志望理由書や研究計画書が必要になります。
研究計画書が必要な場合、試験勉強と並行して短期間で書くのは負担になるので、研究室選びの段階から、自分が何に関心を持っているのか、志望先の研究テーマとどうつながるのかを考慮しつつ作成していきましょう。
~8月まで、過去問を軸に対策する
受験先と科目が固まったら、すぐに試験対策を進めます。 情報系では、基礎数学、コンピュータサイエンス基礎、専門科目の出題が一般的でしょう。
基礎数学では、微分積分、線形代数、確率統計など。 専門科目では、アルゴリズム、データ構造、計算機アーキテクチャ、OS、ネットワーク、データベース、情報理論、機械学習など、専攻によって範囲が大きく変わります。
参考書は、一般的に有名なものを選ぶだけではなく、志望先の過去問に合っているかで選んだ方がよいです。 可能であれば、受験先大学の学部授業で使われている教科書やシラバスも確認します。 内部生が普段使っている教材に近いものを押さえると、出題の温度感をつかみやすくなります。
一般的な正解はない
大学院入試は、研究科、専攻、研究室、年度によってかなり変わります。 ある人にとって最短だった対策が、別の受験先では遠回りになることもあります。
だからこそ、まずは公式情報を確認し、研究室に関する情報を集め、過去問から必要な範囲を逆算することが大事です。 外部受験では情報が少なく感じる場面もありますが、早めに動くことで埋められる差もあります。
受験される皆様、頑張ってください。