スマートフォンで写真を撮る、AIで文章を生成する、大量のデータを保存する。その動作を支える、計算を担うCPU、データを記憶するメモリ、光などを検出するセンサーには半導体技術が使われています。「半導体を学びたい」と考えたとき、大学ではどんな内容を調べればよいでしょうか。

素子を作る、回路を設計する、計算に使う

半導体への関心は、いくつかの方向に分けて考えられます。次の三つは、大学を探すための整理です。互いに切り離された専門ではなく、研究では行き来します。

  • 材料・素子・製造:材料の性質や電流の流れを調べる。電流を流したり止めたりするトランジスタなどの部品を「素子」といい、その働きや作り方を考える。
  • 集積回路の設計:多数の素子を一つのチップにまとめ、計算や記憶の機能を作る。どれくらい速く計算できるか、電力をどれくらい使うか、チップの面積に収まるか、狙いどおり動くかを検討する。
  • コンピュータや情報処理:CPUやメモリをどう組み合わせ、どんな計算をどこで実行するかを考える。AIの計算を専用の回路で速くする、といった研究にもつながる。

例えば北海道大学大学院の情報エレクトロニクスコースでは、半導体デバイス物理学、集積プロセス学、集積システム学などの科目を案内しています。材料・デバイスと回路・情報処理を結びつけて学ぶ例です。[1]

情報系と電気電子系の、両方の教育内容を見る

「情報系ならソフトウェアだけ」「半導体なら材料だけ」と、学科名で決める必要はありません。九州大学の電気情報工学科では、計算機工学コースと電子通信工学コースの双方に、複数の機能を一つのチップへまとめる「システムLSI」というキーワードがあり、後者には集積回路工学やデバイス・集積回路設計も挙がっています。[2]

一方、このサイトの掲載対象は情報分野を中心とした範囲です。材料の作製や製造プロセスを深く学びたい場合は、掲載対象以外の電気電子・物理・材料系の学科や専攻も調べてみましょう。

大学の資料では、基礎から専門へのつながりを確かめる

回路を設計したいなら、論理回路や電子回路から集積回路設計へ進む科目群を確認します。素子の原理に関心があるなら、物理や電磁気学から半導体・電子デバイスへつながる学びが手がかりになります。コンピュータへの応用なら、計算機構成や並列処理、組込みシステムとの関係も見てみましょう。

そのうえで、専門科目・演習・研究指導の内容を確認することが大切です。設計ツールや実験設備が紹介されていても、学生がどの授業や研究で使うのか、コースや研究室への配属条件はどうなっているのかまで、公式案内で確かめてください。

tojihubの情報分野の区分について

半導体・集積回路は「コンピュータシステム・半導体・高性能計算」分野に含めています。この分野にはOSや高性能計算も含まれるため、分野の表示だけで、すべての対象が半導体を専門に扱うとは判断できません。半導体を調べたいときは、詳細テーマ「半導体・集積回路」で絞り込めます。

参考文献・注釈

  1. [1]
    北海道大学大学院情報科学院「情報エレクトロニクスコース」。主要カリキュラムと教育内容を参照。 本文へ戻る
  2. [2]
    九州大学工学部電気情報工学科「学科・各コースの概要」。各コースのキーワードを参照。三つの学び方の整理はtojihubによるものです。 本文へ戻る