「地元の商店街は、昔どんな姿だったのだろう」。調べ学習のために写真を探すとします。ところが、どの図書館や資料館にあるのか分からない。ようやく見つけても、いつ、どこで撮られた写真なのか書かれていない。これでは、レポートの資料として使ってよいか判断できません。[1]

図書館情報学は、本や写真、論文などの情報を整理し、必要な人が探し出して使えるようにするための学問です。対象には、図書館の本に加えて、ウェブ上の資料や研究データなども含まれます。このサイトの「図書館・知識情報」分野では、情報を探す人の行動、検索や保存の技術、資料を公開・共有する制度を組み合わせて考えます。

資料の名前を知らなくても、探せるようにする

この分野では、資料を整理し、検索できるようにし、将来も使える形で保存する方法を学びます。ここからは、昔の写真を例に、その方法を具体的に見てみましょう。

写真のファイル名が「画像001」だけでは、中身を一枚ずつ見るしかありません。そこで、写真に次のような説明を付けることを考えます。

探すための手がかり写真に付ける情報の例
場所駅前商店街
撮影時期1970年代と推定
写っているもの夏祭りの行列
資料の所蔵先地域の資料館

こうした「資料についての情報」を、メタデータといいます。項目ごとに記録すれば、場所や年代で候補を絞り、知りたい内容に合う写真かを判断しやすくなります。撮影年が確定しているのか、写真の中身から推定したのかも、後から分かるように記録します。

探す人の言葉と、資料の説明をつなぐ

資料を登録する人と探す人が、同じ言葉を使うとは限りません。「祭り」で検索した人に、「夏祭」と説明された写真も見つけてもらうには、言葉の関係を整理する必要があります。地名が変わっているなら、今の名前から昔の名前へたどれる案内も役立ちます。

何を手がかりとして付け、似た言葉や関連する資料をどう結びつけるか。このように情報を探しやすく整理することを、情報の組織化といいます。検索のプログラムを作るときにも、どの情報を使って資料を見つけるかが重要になります。

実際の例が、国立国会図書館がシステムを運用する「ジャパンサーチ」です。図書館・博物館などが公開する資料のメタデータをまとめて検索できます。資料を持つ施設の名前を知らなくても、調べたい言葉から複数の機関の資料へたどれる仕組みです。[2]

見つけた資料を使い、将来にも残す

写真をレポートに使うなら、出典をどう書くか、転載できるかも確認したくなります。資料の紹介ページから、所蔵先や利用条件へたどれることも、使いやすさの一部です。

また、今は開ける画像でも、保存した機器が壊れたり、将来そのファイル形式を読めなくなったりすれば、使い続けることが難しくなります。複製を保管することに加え、読める状態を確かめ、必要なら形式を変え、元の資料との対応を残す方法を考えます。何を残し、誰が管理を続けるのかという運営の問題も関わります。

大学では、資料を探す人の立場から仕組みを調べる

例えば、写真の一覧に場所や年代で絞り込む機能を付けたとします。別の人に使ってもらい、目的の写真へたどり着けたか、どこで迷ったかを調べれば、項目名や検索方法を見直す手がかりになります。情報を整理する方法と、探す人の行動を一緒に調べるのです。

筑波大学の知識情報・図書館学類では、知識を扱う人間、共有を支える情報技術、社会制度を学ぶ教育が案内されています。検索の仕組みを作る研究も、利用者への調査から図書館のサービスを考える研究も、この分野に含まれます。[3]

データベース・社会情報・人文情報との違い

検索を速くする仕組みは「データベース・Webサービス」分野と重なりますが、「図書館・知識情報」分野では、何をどんな言葉で整理し、誰にどのようなサービスを届けるかも中心の問いになります。

知識へのアクセスと社会の関係は「社会情報・メディア論」分野、写真から歴史や文化の問いを探ることは「人文情報・デジタル人文学」分野ともつながります。一つの写真集でも、資料を見つけられるようにする研究と、その資料で歴史を解釈する研究では重点が変わります。

大学で学ぶ科目

学部では、資料の分類・整理、情報検索、データベース、利用者が情報を探す行動、図書館のサービスや制度などを学びます。筑波大学の知識情報・図書館学類には、知識資源組織化論、情報探索論、データベース概説などの科目があります。[4] 演習なら、写真に撮影場所や年代などを登録して検索できる一覧を作り、別の人が目的の写真を見つけられるか試す、といった取り組みが考えられます。

大学院では、情報検索や知識の共有、資料の長期保存、図書館と地域社会の関係などから問いを絞ります。専門講義や論文を読むゼミで方法を学び、検索システムを改良して探しやすさを測る研究や、利用者への調査からサービスを考える研究などへ進みます。技術を作る研究と、人や制度を調べる研究の両方があるため、自分が深めたい方法を選ぶことが大切です。[5]

大学を探す際は、科目と研究室の内容に加え、司書などの資格を希望する場合は、その資格に必要な履修条件も公式案内で確認してください。

「図書館・知識情報」分野を学べる大学学部・大学院を探すから、知識を人につなぐ学びを探してみましょう。

仕事・業界ガイドでは、仕事内容から関連する分野を確認したり、学びたい分野から仕事を調べたりできます。

tojihubの情報分野の区分について

tojihubは、情報資源の組織化・保存・提供を、この「図書館・知識情報」分野として整理しています。

CS2023と科研費の区分を参考にしています。参照した区分と、各分野に含める内容・隣接分野との関係は、分類と根拠のページで説明しています。

参考文献・注釈

  1. [1]
    商店街の写真は、学習内容を説明するための架空の例です。特定のアーカイブや大学の実習成果を紹介するものではありません。科目名や履修できる範囲は大学・課程によって異なります。 本文へ戻る
  2. [2]
    「ジャパンサーチの概要」、国立国会図書館「ジャパンサーチへのデータ提供」。複数機関のメタデータを共有・検索する仕組みを参照。各資料の利用条件は提供元で異なります。 本文へ戻る
  3. [3]
    筑波大学「知識情報・図書館学類」「教育内容」。学びの広がりの参照例であり、他大学の履修内容を示すものではありません。 本文へ戻る
  4. [4]
    筑波大学知識情報・図書館学類「2025年度 開設授業科目シラバス」。科目名と教育内容を参照。本文の写真を使う演習は説明用の例です。 本文へ戻る
  5. [5]
    筑波大学「情報学学位プログラムのカリキュラム・ポリシー」。情報学を技術・人間・社会の側面から扱う大学院の教育・研究例。 本文へ戻る