AIと聞いて、ChatGPTのように質問に答えたり、文章を書いたりするサービスを思い浮かべる人も多いでしょう。自然な文章を返す仕組みを知りたい。答えが間違っているかを見分けたい。そうした関心も、AIを学ぶ入口になります。

「AI・機械学習」分野では、文章を生成する技術に加え、画像を認識する、需要を予測する、知識を使って推論する、行動を計画するなど、さまざまな仕組みを学びます。サービスの操作から一歩進んで、どのように作り、その働きを確かめるかを考える分野です。

ChatGPTのように文章を返す仕組みを学ぶ

ChatGPTのような対話型AIを支える技術の一つが、大規模言語モデル(LLM)です。文章を単語やその一部などの単位に分け、大量のデータから言葉の並び方を学びます。文章を生成するときは、そこまでの文脈に続く単位を予測し、出力を組み立てていきます。[1]

人の指示に応えるための追加の学習や、出力の評価も関わります。もっともらしい文章でも、内容が正しいとは限りません。例えばOpenAIのGPT-4の研究報告でも、誤った事実を生成することや、結果の検証の必要性が示されています。[2]

大学で学ぶときは、入力を工夫することに加え、モデルの学習方法、文章の表現、誤りや偏りの調べ方、計算に必要な資源へと掘り下げられます。文章・画像・音声などを生成するAIは「生成AI」と呼ばれ、その中でも言語を扱うLLMは身近な例です。

「認識」「予測」「計画」のAI

AIの広がりを、三つの働きから見てみましょう。「認識」は写真に何が写っているかなどを判断すること、「予測」は明日の利用人数などを見積もること、「計画」は目的を達成するために行動の順序を考えることです。

これは理解のための見方で、AIを三種類だけに分けるものではありません。例えば、文章を生成するLLMも、次に続く言葉を予測しています。データから規則性を学ぶ機械学習のほか、知識やルールを使って推論したり、行動の選択肢を探索したりする方法もあります。[3]

「認識」:写真の何を見て、落とし物を分ける?

学校の落とし物の写真を、「傘」「水筒」「衣類」に自動で分けたいとします。丸めた傘と細長い水筒、暗い写真、見たことのない物をどう扱えばよいでしょうか。[4]

まずは、写真と「これは傘」という答えの組を用意し、分類する仕組みを学習させます。答えの例を使う方法を「教師あり学習」と呼びます。ただし、傘だけ廊下で撮り、水筒だけ教室で撮っていたら、物の形ではなく背景を手がかりに分類してしまうかもしれません。写真を増やすだけでなく、集め方も考える必要があります。

「認識」:初めて見る写真で、間違い方を調べる

学習に使った写真で正解できても、新しい写真で正解できるとは限りません。覚えた例に合わせすぎて、初めて見る例への対応が悪くなることを「過学習」と呼びます。[5]

そこで、学習用と評価用の写真を分けます。100枚のうち何枚正解したかだけでなく、傘を水筒と間違えやすいのか、暗い写真が苦手なのかを調べます。複数の物が写る写真や分類先のない物は、人に確認を頼むなど、仕組み全体も設計します。

「予測」:明日の利用人数を見積もる

学食なら、曜日、天気、過去の利用人数を使って、明日は何人来そうかを予測できます。まず「過去の同じ曜日の平均」と比べ、複雑なモデルを使うことでどのくらい誤差が減るかを確かめます。

予測する時点で分かる情報だけを使うことも大切です。明日の実際の売上を入力して明日の人数を予測しても、営業前の仕入れには役立ちません。予測を作った期間より後の日付の記録で試すと、実際の使い方に近づけて評価できます。

「計画」:目的地まで、どの順序で進む?

配膳ロボットなら、どの席へ先に料理を運ぶか、通れない通路をどう避けるかを考えます。出発地点、届け先、通れる道などを表し、目的を満たす行動の順序を探します。

ここでは、進める道を順に調べる「探索」や、経験した結果から行動の選び方を学ぶ「強化学習」などが関わります。コンピュータ科学の研究・教育で世界的に知られる米国のスタンフォード大学では、AIの基礎を扱う科目「CS221」で、探索や意思決定などの原理を学び、プログラムとして実装する課題に取り組みます。[6] 写真で人を見つける「認識」と、見つけた人を避ける道順を考える「計画」は、一つのロボットの中で組み合わさるのです。

画像処理や統計とのつながり

写真の色や輪郭を表す方法を深く学ぶなら「画像・音声・CG」分野、データの不確かさや調査の設計に関心があるなら「データサイエンス・統計」分野とのつながりがあります。認識結果を使って機械を動かすなら「ロボティクス・制御」分野にもつながります。

同じ「画像を使う授業」でも、画像の表現を学ぶのか、学習アルゴリズムを研究するのかで中心は異なります。テーマ名に加え、何を作り、どの性質を評価する授業かを読みましょう。

大学で学ぶ科目

学部では、線形代数、確率・統計、微分、プログラミングなどを土台に、機械学習、知識表現、探索、自然言語処理へと進みます。線形代数は多数の数値をまとめて計算するために、微分は学習時に誤りを減らす方向を調べるために役立ちます。演習では、写真を分類するモデルを学習させ、初めて見る写真での間違いを調べる、迷路で目的地までの経路を探すプログラムを作る、といった課題が考えられます。[3]

大学院では、深層学習、統計的学習理論、自然言語処理、意思決定など、関心に応じた専門科目と研究へ進みます。既存の論文の実験を自分で再現し、そこから「少ないデータで学べないか」「特定の条件で起こる誤答を減らせないか」といった問いを立てます。LLMなら、誤りの評価方法を作る研究や、計算量を抑えながら専門分野へ対応させる研究などがあります。京都大学の公開要覧には、機械学習・言語処理などの専門科目と研究指導が示されています。[7]

これらは学び方の例です。研究室によって扱うAIや必要なデータ・計算環境は異なるため、専門科目、演習、研究指導の内容を確認することが大切です。

「AI・機械学習」分野を学べる大学学部・大学院を探すから、仕組みと評価を学ぶ経路を確かめてみましょう。

仕事・業界ガイドでは、仕事内容から関連する分野を確認したり、学びたい分野から仕事を調べたりできます。

tojihubの情報分野の区分について

tojihubは、データから学ぶ仕組み・推論・知識の表現を、この「AI・機械学習」分野として整理しています。

CS2023と科研費の区分を参考にしています。参照した区分と、各分野に含める内容・隣接分野との関係は、「18の分野について」のページで説明しています。

参考文献・注釈

  1. [1]
    Google「大規模言語モデル入門」。言語モデルとトークン、文脈を用いた生成の説明を参照。 本文へ戻る
  2. [2]
    OpenAI「GPT-4の研究報告」。学習と出力の限界を説明する例として参照。 本文へ戻る
  3. [3]
    ACM・IEEE-CS・AAAI『CS2023最終報告』、AIの知識領域。大学ごとの開講科目を示す資料ではありません。 本文へ戻る(1) 本文へ戻る(2)
  4. [4]
    この記事の落とし物・学食・配膳ロボットの例は、学習過程を説明するための架空の題材です。特定の大学の授業内容や製品の精度を表しません。 本文へ戻る
  5. [5]
    Google「Machine Learning Crash Course — Overfitting」。過学習と未知のデータでの評価を参照。落とし物の例はtojihubによる構成です。 本文へ戻る
  6. [6]
    Stanford University「CS221: Artificial Intelligence — Principles and Techniques, Autumn 2025」。探索・意思決定・強化学習などの学習範囲を参照。 大学の紹介は公式案内を参照。 本文へ戻る
  7. [7]
    京都大学情報学研究科「2025年度大学院学修要覧」。機械学習・言語処理等の科目と研究指導の構成を参照。本文の研究課題は説明用の例です。 本文へ戻る